原付1種の区分を変える話が出ているようですが…

交通

警察庁は、最大出力を4キロワット(約5.4馬力)以下に抑えた排気量125cc以下の二輪車を原付1種扱いにできないか検討すると発表したそうです。変更する理由は排ガス規制をクリアするためのようです。

手軽に乗れるので原付利用者は反対すると思いますが、原付は他の自動車と比べて危険性の高い乗り物だと思うので、むしろ原付1種は廃止したほうがよいのではないでしょうか?

二輪の技能を教わらずに公道を走る

125cc以下の二輪が乗れる「普通二輪小型限定免許」(小型二輪)を取得するには、オートマチック限定でも技能が9時限、学科が26時限の「法定最短時限数」となっています。普通免許を取得後に小型二輪免許を取る場合でも技能が8時限、学科が1時限となっています。
技能教習の中には低速で曲がる「クランク」や曲がる途中に速度を制御する「八の字(Sコース)」、「坂道発進」、時速30kmから8m以内で停止する「急制動」、時速30kmで教官へ向い走行し、上げた旗の指示に従う方向へ進路を変える「回避」など、転倒することもある内容が含まれています。

原付免許を取得するには「原付講習」を受講し、学科試験を合格すると取得できるようです。最短1日で取得できるようです。しかも普通免許を持っていれば、原付教習すらなくても原付に乗れてしまいます。

このように原付は二輪特有の技能を教わらずに公道を走行しますので、歩行者が事故に巻き込まれて被害者になるリスクも小型二輪より高いのではないでしょうか。

法定速度が時速30km

運転免許の区分の中で、法定速度が30kmなのは原付だけで、他の区分は時速60kmです。つまり、自動車で走行していると原付を相対速度時速30kmで追い越すことになります。トレーラーなどの大きな車もすぐ側を抜いていくわけですが、トレーラーが巻き起こす風の影響を受けて走行が不安定になり、接触事故を起こすこともあるでしょう。原付の法定速度も自動車と同じ時速60kmであればこのような事故も低減できると思いますが、原付のメーターを見ると60kmまでのようですので、厳しそうですね。

時速30km時速60km
原動機付自転車大型自動車
中型自動車
準中型自動車
普通自動車
大型特殊自動車
大型自動二輪車
普通自動二輪車
小型特殊自動車

二段階右折

原付には「二段階右折」というルールがあります。標識は以下の2種類があります。

←「しなければならない」標識

←「してはいけない」標識

です。厄介なのは、標識が無いところでは「3車線(片側、一方通行とも)以上の道路は、交差点で二段階右折」というルールがあります。車線数と標識を交差点の度に瞬時に判断しないといけない訳で、間違うこともありそうですね。
原付に対する標識ですが、原付がこのような動きをすることを他の運転者も知らないと原付と事故になるかもしれません。つまり、車しか運転しない人もこれらの標識を意識して運転しないといけないということです。

二段階右折の時は交差点の角で曲がる方の信号が緑になるのを待つのですが、例えば30台の原付が二段階右折することとか考えているのでしょうか?がんばって10台くらい行けるとしても、列はぐちゃぐちゃになりそうです、他の車両の通行を妨げることになりそうですが…

特定小型原付がいると追い越すことになる

2023年7月1日に改正道路交通法が施行され、一定の基準を満たした電動キックボードなどが「特定小型原付」と定められました。最高速度は20km/h以下となっています。これも原則は車道の左側に寄って走行し二段階右折が必要ですが、すべての交差点が二段階右折になるようです。最高速度は原付より10km遅いため、原付の運転手からすると前に電動キックボードがいれば抜くことになりますが、接触しそうで怖いですね。

電動キックボードのタイヤの径は5~6インチ(12.7~15.24cm)位ですが、スクータのタイヤの径が10インチ(25.4cm)位なので約半分になります。スクータ以上に、ちょっとした段差でバランスを崩して転倒しそうです。前を走行されているときに突然コケられそうで怖いですね。

自転車がいると追い越すことになる

例外として歩道を走行してよいことになっていますが、自転車も原則は車道の左側に寄って走行します。そして警視庁のウェブサイトによると、車道を走行中は車両用の三灯式、歩道を走行中は歩行者用の二灯式に従うそうです。ただし、二灯式に「歩行者・自転車専用」の標識がある場合は二灯式に従うそうです。三灯式の中には「自転車専用」もあるようです。例外がいろいろあり分かりにくいですね。

自転車の標準的な速度は時速15km前後のようです。原付の運転手からすると前に自動車がいれば抜くことになりますが、接触しそうで怖いですね。

衝突するとき

「最大出力を4キロワット(約5.4馬力)以下に抑えた」ということですが、出力を抑えるにしてもエンジンを125ccにするとその分重くなるでしょうから、車体も現行の125cc並みになるのではないでしょうか?

スクータを参考にしたところ、50ccの車体重量が約80kg、125ccの車体重量が約120kgでした。運動エネルギーは質量に比例しますので、運転手の体重を60kgとした場合、衝突するときの運動エネルギーも約1.3倍となります。破壊力が増しますね。

危険を減らす方向に向うといいな

こうしてみると、車道には自動車・原付・特定小型原付・自転車が走行しているわけですが、11トンの大型車に巻き込まれる危険性や、自転車・特定小型原付と接触する危険性がある中で運転するにも関わらず、技能教習無しというのはいかがなものでしょうか。

50ccの2021年の保有台数は4,652,686台で全体の45.2%を占めています。メーカーは売り上げ、自治体は税収という点から大きな数字だと思います。もし原付を小型二輪並みの教習にすると、この数字は大きく減少すると思います。

しかし人命を尊重されるのであれば、この機会に原付は廃止した方が良いかと思います。検討される方達が実際に原付に乗って走ってみると実感されると思いますよ。

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