マイナンバーカードに思うこと

生活

2023年11月時点で国家公務員の利用率は4.36%のマイナンバーカードですが、国民に向けては躍起になっているようで86.6%だそうです。

引用:総務省

調べたところ、2015年11月、内閣官房と警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省が連名で政府に「国家公務員身分証の個人番号カード一元化における問題点等について」という文書を提出したそうです(東京新聞の記事より)。

マイナンバーカードを身分証として使用することの問題点として「紛失・盗難等により、職員の氏名、住所、年齢等を所属省庁とともに把握できる」とし、外国情報機関などが取得したり、一般人がネットなどで拡散したりすると「職員やその関係者に対する危害・妨害の危険性が高まる」と指摘したようです。
カードだけでは社会保障や納税などの個人情報は分からないが、マイナポータルにアクセスすれば閲覧できるため、「個人情報を一括して盗まれ、それらを基にした職員個人に対する不正な働きかけに利用される可能性が否定できず、最悪の場合、秘密情報の流出につながる」と身分証との一元化からの除外を求めたそうです。

でもこれって一般国民にも同じことが言えると思うのですが。

マイナンバー

個人番号(マイナンバー)の指定を受けるのは、日本の市区町村に住民票がある住民(個人)全員で、これには日本国民と住民票のある外国人の両方が含まれるようです。

情報を管理する側から見ると、個人番号(マイナンバー)は個人を特定するにはとても有効かと思います。番号が無いと名前や生年月日、住所などから「名寄せ」を行うことになりますが、名寄せの時にたまたま情報が一致する別人が出てくることもあるでしょう。そうなると本来与えられない行政サービスや必要のない徴収が発生するかもしれません。よって個人番号の利用は「あり」だと個人的には思います。

マイナンバーカード

個人番号

引用:総務省

マイナンバーカードの見本を見たときに最初に思ったことは、「他人の個人番号を不正に取得すると懲役や罰金があるのに、なぜ個人番号を印字しているの?」でした。
カード発行時には個人番号部分がマスクされた透明な袋が付いてきますが、それなら最初から記載しなければよいと思います。クレジットカードでも「ナンバーレス(クレジット番号が印字されていない)」が出ているくらいですよ。わざわざ罰則が生じる原因を作らなくても良いと思うのですが、政府は罰金が欲しいのでしょうか?

役所でマイナンバーカードを使うのであれば、マイナンバーは役所側でわかるでしょう。年末調整の書類や証券口座開設にマイナンバーを求められますが、マイナンバーカードに番号の記載が無くても「通知カード(個人番号通知書)」に記載があるので判ります。

誰かにコピーを取られるリスクを負ってまでカードに記載する理由が見つかりません。

ICチップ

引用:総務省

総務省のウェブページに記載の「マイナンバーカードの3つの利用箇所について」を見ると、ICチップには、署名用電子証明書、利用者証明用電子証明書が入っているそうです。これらは以下の用途のようです。

  • 「署名用電子証明書」:e-Tax等のインターネットを使用したオンライン申請等
  • 「利用者証明用電子証明書」:コンビニでの各種証明書の取得、マイナポータルへのログイン、健康保険証利用の申込等

個人的には発行した証明書の取り忘れが怖いので、コンビニで証明書の発行は控えています。

情報の紐づけが問題なのでは?

マイナンバー制度における個人情報の管理」では、個人の情報を担当する行政機関内で分散管理していると記載されています。また、「手続きを受け付ける行政職員だけが、その手順に必要な情報に限ってアクセスすることが許されています。」とあります。
それなのに政府はマイナンバーカードにやたらと紐づけしたがっています。行政内と同じように分散させた方がリスクも分散されるのに、まるで「国民の個人情報なんぞ漏洩しても構わない」と思っていそうですね。

既存の身分証明書

銀行口座の開設やスマホの契約などでは、本人確認の身分証明書を求められます。セキュリティの重要性が高まり、身分証明書も「顔写真付き」のものが求められるようになりました。
私は車の運転免許証を身分証明書としてよく使いますが、持たない場合はどうすれば良いでしょうか?

住んでいる市区町村が発行する住民基本台帳カード(住基カード)がありましたが、平成27年(2015年)12月31日で新規交付、再交付及び更新は終了しました。このカードは顔写真付きでした。

日本では「国民皆保険制度」で何かしらの健康保険に加入しなければなりません。自営業者などは「国民健康保険」に加入することになりますが、例えば札幌市では届出人本人と確認できるものとして運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、障害者手帳、在留カードなどとなっています。これらが無ければ、役所の方と相談しながら本人と認められる事実を確認していくことになるかと思います(どうすれば良いかは役所へご確認ください)。
健康保険証には顔写真が付いていないものがほとんどかと思います。

日本国内に居住している20歳以上60歳未満の方は、国民年金の被保険者(加入者)となります。20歳になった方には、日本年金機構から国民年金(第1号被保険者)に加入したことをお知らせします
年金手帳は日本国内に住む20歳到達者(20歳前に就職し初めて年金に加入されたかたも含む)は、原則20歳の誕生月に基礎年金番号通知書が日本年金機構から交付されますが、顔写真は付いていません。

パスポートを作成するときの本人確認には運転免許証など顔写真付きのもの1点が必要ですが、それが無ければ、顔写真の無い健康保険証、国民年金証書など公的機関が発行したもの+学生証、会社の身分証明書、公の機関が発行した資格証明書等が必要となっています。身分証明書の無い会社勤めの人には敷居が高いですね。

ちなみに運転免許証を持つために必要な本人確認書類には、健康保険証でもOKのようです。

国民全員が持てる身分証明書

こうしてみると、運転免許証が無いと他の証明書を作るのにも大変ですね。とはいえ、今のマイナンバーカードの展開を見ると「作りたくない」と思うがいることも頷けます。

日本では「国民皆保険制度」で何かしらの健康保険に加入しなければなりませんので、健康保険証にICチップと顔写真付きにすれば良かったのではないでしょうか? 紐づける情報は医療・介護の範囲で限定して。
そうすればマイナンバーカードのように個人情報を一網打尽にされにくくもなるでしょう。
インターネットを使ってサービス展開したいのであれば、医療・介護については健康保険証内の電子証明書を使う、運転免許については運転免許証の電子証明書を使うなどすれば良いのでは?と思います。今の運転免許証には本籍情報しか入っていなかった気がしますが、それよりも電子証明書を入れておいた方が良いのではないでしょうか?
パスポートにもICチップが付いていましたが、それも電子証明書を入れておいてはいかがでしょうか?
重要な情報については、複数の身分証明書の電子証明書を利用するのも良いかと思います。

リスクの高いマイナンバーカードを作らせるためにポイントや給付金で釣るのではなく、安全性を考えた環境作りをしていただきたいと、一国民として思います。

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